
新築住宅を検討し始めると、多くの人が最初にぶつかるのが「年収いくらあれば家が買えるの?」という疑問です。
テレビCMやインターネットでは「35年ローン」「金利1%台」「頭金0円からでもOK」といった言葉をよく目にしますが、実際にどのくらいの年収でどれくらいの家が買えるのか、そして無理なく返していけるのかは、人によって大きく異なります。
住宅購入は多くの人にとって「人生で一番大きな買い物」です。
しかし、その大きな買い物も、正しい知識と計画さえあれば、不安を大きく減らし、自分たちらしい暮らしを叶えることができます。

この記事では、
以下の内容で住宅会社ならではの視点も交えて、丁寧に解説していきます。
多くの方が住宅購入の第一歩で不安を抱くのが、「予算」と「ローン」の話です。
年収によって、住宅ローンを借りられる金額はある程度決まっています。
ただし、「借りられる金額=買っていい金額」ではないという点は非常に重要です。
たとえば、金融機関の審査上は年収の6〜7倍程度まで借入可能とされることがありますが、実際にそれを借りると毎月の返済負担が大きく、生活費や教育費にしわ寄せが来るケースも少なくありません。
一方で、無理のない返済計画を立てて家を購入する人は、毎月の暮らしを楽しみながらローンを返済し、家を「資産」として活かしています。
つまり、家づくりを成功させるカギは、自分の年収に見合った資金計画を立てることなのです。

| 年収 | 借入目安額(返済負担率25%) | 購入予算の目安(諸経費含む) | 月々の返済目安(35年ローン・金利1%) |
| 400万円 | 約2,500万円 | 約2,700万円 | 約7万5千円 |
| 500万円 | 約3,000万円 | 約3,200万円 | 約9万円 |
| 600万円 | 約3,500万円 | 約3,700万円 | 約10万5千円 |
※この金額はあくまで目安です。実際には金利や返済期間、ボーナス払いの有無によって変動します。
例えば年収500万円の方であれば、3,000万円程度のローンが現実的な目安。
頭金や諸経費を含めてトータル予算3,200万円前後で計画すると、生活費とのバランスも取りやすいケースが多いです。

「返済負担率」とは、年収に対して住宅ローンの年間返済額がどれくらいの割合を占めているかを示す数字です。
この返済負担率が高すぎると、住宅ローンの支払いに生活費を圧迫され、余裕のない暮らしになってしまう可能性があります。
国が定める目安では、
たとえば、年収500万円の場合
500万円 × 25% ÷ 12ヶ月 ≒ 月々約10万4千円
この金額が一つの「安心ライン」になります。
ここを超えてローンを組むと、家計に余裕がなくなり、教育費や老後資金にしわ寄せが出る可能性があるため注意が必要です。

家を買うとき、多くの人が建物本体の価格だけに注目しがちですが、実はそれ以外にもさまざまな費用が発生します。
これを把握していないと、後から「こんなにかかると思わなかった…」という事態になることもあります。
主な費用は以下の通りです。
例えば、建物本体価格3,000万円の場合、諸経費だけで150万〜300万円程度かかるケースもあります。
頭金や諸経費を含めてトータル予算を立てることが、安心の家づくりの第一歩です。

住宅ローンの返済期間は最長35年。
この「35年」という数字が、年齢と深く関わってきます。
例えば、
年齢が上がると返済期間が短くなるため、同じ年収でも月々の支払額が増える傾向にあります。
また、子育てや教育費、老後資金など、人生の支出イベントも年齢とともに変化していくため、
「いつ買うか」も非常に重要なポイントです。
20代後半〜30代前半で住宅購入を検討する人が多い理由のひとつが、
「ローン返済のスタートを早めることで、将来の家計に余裕を持たせるため」でもあります。

住宅購入は単なる「物件購入」ではなく、人生設計の一部です。
家を建てた後にも、教育費、車の買い替え、旅行、老後資金など、さまざまな支出が発生します。
そのため、住宅ローンは「今の年収」だけでなく「将来の家計」を見据えて計画することが大切です。
ライフプランを考える上で押さえておきたいポイントは以下の通りです。
特に近年は、高断熱・高気密の住宅を建てることで光熱費を抑え、総支出を下げるケースも増えています。
「性能が高い=初期コストは上がる」ものの、長い目で見ればお得になることもあるのです。

年収400万円前後で家づくりを検討している方も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、年収400万円でも家は十分に建てられます。
ポイントは以下の通りです。
年収400万円の場合、借入額の目安は2,500万円程度。
土地付きでの家づくりを考えるなら、土地費用と建物費用のバランスをしっかり取ることが大切です。

年収500万円は、住宅購入層のボリュームゾーンとも言われています。
この年収帯では、建物と土地のバランスを取りながら、間取りやデザインにもある程度の自由度を持たせることができます。
たとえば…
トータル3,000万〜3,500万円の計画が多い傾向です。
この価格帯であれば、LDK20帖+水回り+主寝室+子ども部屋2つといった人気の間取りも実現可能です。

年収600万円以上の方は、より性能やデザインにもこだわった家づくりがしやすくなります。
住宅ローンの目安は3,500万円前後、土地と建物の予算にゆとりを持つことで、間取りの自由度や内外装の質感にもこだわることができます。
この価格帯では、
といった仕様も現実的な選択肢になります。

住宅購入で失敗しやすいケースの多くが、「金額だけで判断してしまう」ことです。
たとえば、月々の返済額が家賃と同じだからといって、そのまま契約してしまうと、あとで予想外の出費に苦しむ可能性があります。
注意すべきポイントは以下です。
また、住宅会社や金融機関によってローンの条件は大きく異なります。
複数社で比較検討することも非常に重要です。

住宅ローンには「固定金利」と「変動金利」があります。
金利の違いによって返済総額は数百万円単位で変わることもあるため、しっかり理解しておきたいポイントです。
特に近年は変動金利が低いため選ぶ方も多いですが、金利上昇のリスクを理解した上での選択が必要です。
「金利が低いから」という理由だけで決めず、ライフプランに合ったローンを選びましょう。

→ いいえ、年収が低くても、返済負担率の範囲内であれば住宅ローンを組むことは可能です。
土地や建物の計画を調整すれば、十分にマイホームは実現できます。
→ 最近は頭金ゼロでも住宅ローンを組めるケースが増えています。ただし、金利条件や返済総額に影響するため、可能であれば1〜2割程度の頭金を用意するのが理想です。
→ 借り換えによって月々の支払いを減らしたり、返済期間を短くしたりすることは可能です。金利情勢やライフステージに合わせて見直すのもひとつの方法です。
家づくりは「年収が高い人」だけのものではありません。
年収400万円でも、500万円でも、600万円でも、正しい資金計画とライフプランを立てれば、無理なく理想の暮らしを実現することができます。
家は「買う」だけではなく、「建てたあとにどう暮らすか」がもっとも大切です。
焦らず、じっくりと計画を立て、自分たちにぴったりの住まいを見つけましょう。
